会頭挨拶

第116回日本皮膚科学会総会
大会テーマ「NeoDermatologyの時代を生き抜く」

会頭 相場 節也
(東北大学大学院医学系研究科 皮膚科学分野教授)

この度、第116回日本皮膚科学会総会を2017年6月2日(金)〜6月4日(日)の三日間、仙台国際センターを会場に開催させていただくこととなりました。大変光栄なことと存じます。

東日本大震災から既に5年以上の月日が経ち、やっと三陸沿岸の被災地にも復興の兆しが見え始めました。ただ、そもそも過疎地域であったうえに震災で人口減少に拍車がかかり、まだまだ先行きは不透明です。そこで是非東北地方復興の後押しをさせて頂きたいと仙台での総会開催をお願いいたしました。皮膚科学会総会は2009年の福岡と2010年の大阪開催を除いては、2003年以降から東京・横浜と京都に会場を固定して開催されるようになりました。したがって仙台は第110回以来の7年ぶりの地方開催の総会となります。会場の広さ、宿泊施設などで多少ご不便をおかけするかもしれませんが、東北地方を元気にするためお力添えをお願いします。

近年、皮膚科医を取り巻く環境は激変しています。乾癬、悪性黒色腫の治療に生物学的製剤が導入され、患者さんのQOLと生命予後が著しく改善しました。今後さらに、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹治療にも生物学的製剤が使われるようになります。言うまでもなく、これらの薬剤が皮膚科診療に与えるインパクトは計り知れないものがあります。クリニックで治療していた患者さんが市中病院、大学病院の皮膚科、場合によっては内科や整形外科で治療されるようになるかもしれません。これだけ高額な医療費を現在の保険制度で維持し続けられるとは到底思えません。多分私たち皮膚科医は、これから文字通りNeoDermatology(新生皮膚科)の時代に突入することになります。そこで第116回総会では、NeoDermatologyの時代に皮膚科診療を取り巻く環境がどのように変わるのか、またその新しい環境のなかで皮膚科医はどのようにしたら生き残れるのかを幾つかのシンポジウムを通して考えてみたいと思っています。

日本専門医機構は6月9日、2017年度からの同機構が認定する新専門医制度の全面実施を見送ることを決定しました。幾つかの診療科では、それでも試行という形で新専門医制度に則った研修プログラムを開始する方針とのことですが、皮膚科学会は、理事会にて2017年度はこれまで通りの専門医制度を維持することを決定しました。2017年度の全面移行が見送られた、先行き不透明な新専門医制度ではありますが、皮膚科学会も早晩新専門医制度に移行することと思います。したがって、第116回総会が従来の専門医制度で行う最後の皮膚科学会総会になるかもしれません。今年新専門医制度に則って総会を施行したある学会総会では、単位を取得できるプログラムに会員が殺到し、会頭が目玉と考えるメイン会場の講演参加者が少なくなってしまったとのことです。また新専門医制度が開始されると症例報告を聴いても単位取得ができなくなるとも聞いています。第116回総会でも、2016年の総会同様に症例報告を多数口演していただこうと思っています。単位を気にせず症例報告にゆっくり耳を傾けて下さい。

最後に、東日本大震災で有名になった仙台ですが、幸い中心部は大きな被害を免れました。また5年を越えた歳月の間に、仙台は震災で失われた魅力をほぼ取り戻すことができました。学会場は広瀬川と青葉山に挟まれた緑豊かな仙台国際センターです。2015年12月に仙台地下鉄東西線が開通し、仙台駅と学会場はわずか5分で結ばれました。久しぶりの地方開催の皮膚科総会です。地方の魅力を満喫して頂きたいと思います。懇親会では、海の幸、東北の地酒などを堪能して頂きたいと思っています。先生方のご参加を心からお待ちしております。